経営コンサルタント、マンション大規模修繕工事のコンサルタントは外部役員へ

外部役員 ブログBlog

退職の流儀

2015年6月11日
Pocket

以前も書いたが、現在、(職種・業種にもよるだろうが)中小零細企業の多くは採用に苦戦しているのではないだろうか?
経営者はどの部門からも「人が足りません、人を入れて下さい!」と言われ、追い立てられるようにあらゆる手段を使って募集をしているにも関わらず、面接に来る人は極わずか。
挙げ句に社員からは「どうして、人を入れないんだよ、ウチの会社」と陰口を叩かれる始末・・・。
そこで、社員(経営者では無い方々)諸君に私は伝えたい。
経営者は「ああ、どうにかして人を入れたい、人が入ればビジネスチャンスも広がり、業績も向上するだろう。個々の負担も軽減出来、エラーも減るのに・・・」と思っているからね!

経営者の方、皆様がおっしゃりたいことを私が代弁致しました。これで多少溜飲を下げて下さい。

このような「とにかく人が欲しい」状態の中で、「人が減る」つまり「退職する」という事態は大打撃である。これは就労者数が少ない会社ほどダメージは大きい。

もちろん、「アイツ、どうして辞めないんだろう。アイツが辞めるだけでウチの会社よくなるのに」という人が退職しても当然ながらダメージはゼロである。むしろリスクが低減され、プラスですらある。
しかし、皆様も既に経験されていると思うが、このような人ほど、辞めないものである。あ-残念。
退職されてダメージが大きいのは「成績優秀なスタッフ」、「堅実で長年に渡り安定した結果を出すスタッフ」であろうが、人が求められている会社であれば「可も無く不可も無いスタッフ」であっても
なかなかのダメージである。
更にダメージが大きいのは
●社内において「その人だけが」、「その仕事の」ノウハウを持っている場合
●会社ではなく、「その人に」多くの御客様がついている場合
ではないだろうか。
このケースではとてつもないダメージを会社が被る場合があるので、そもそも経営者はこのような「特定の人間に依存するような組織作りをしない」ように心がけることであろう。

経営者も組織作りや要員の配備には熟考しなければならないが、働いている人達にも解って頂きたいことがある。

例えば以下のような会社があったとしよう。
●社長が一人、社員4人。この4人は2人ずつの2チームに分かれている
●年間売上げ高が4億円、従業員一人あたりの売上げ高は1億円
●主要顧客は2社で、各社から2億円の売上げ高を得ている
●営業的な業務は社長が1名、実務は4名の社員が行う

この会社で社員が1名退職した場合を想定すると、以下の事態が生じる。

▲ウチ1人が主要顧客の一つを引き受けなければならない、または3人で2社を対応しなければならない(今まで一人1億円の負荷が、1.3億円強の負荷となる)
▲一人で主要顧客を引き受けた場合、サービスの低下が発生する。又は3人で2社を対応しなければならない場合も同様に従来並のサービスの維持は難しい。
▲社長が営業から離れ、実務をフォローすると先々の発注が減少する可能性がある。(将来の売上げが見込めなくなる)
▲取引先を1社に絞ると、その会社に何かがあった場合、大変危険な状態になる。
▲サービスの低下を回避する為に過剰な労働を強いられる可能性がある。健康を害したり、家庭不和を招き、仕事を続ける意欲がなくなる。

4人の会社で一人が抜ける・・・。
野球では、ピッチャー、キャッチャー、セカンド(又はショート)、センター、といった直線上に並ぶメンバーが重要と言われるが、4人の会社はこの「センターライン」しか、いないのである。
ピッチャーがいなければ野球は始まらない。キャッチャーも同様である。セカンドがいなければ大抵の打球は全てヒットで、センターがいなければ外野に抜けた打球は全てホームランなのである。

上記は極端な例ではあるが(野球の例がわかりにくくしてしまったかも知れない。つい、勢いで書いてしまいまして・・・)社員が少ない会社で「戦力」として働いていた人が退職すると、会社や周囲のスタッフに深刻な事態を招く危険性が高いのである。
退職する人は「そんなのはオレに関係無いよ。会社が(経営者が)どうにかすれば良い問題だよ」と思うかも知れない。
しかし、ダメージを受けるのは会社だけではなく、これまで机を並べ、忙しい時はお互いを手伝い、つらい時は励まし合い、結果が出た時は共に喜んだ、同僚であることを思い出して欲しい。
退職する人に更に言いたい。貴方の選択や取った行動は貴方の同僚の幸せも壊してしまうかも知れない。それは貴方も望まないのではないか。

もちろん、退職する人にはそれ相応の理由があり、中には肉親が病気でといった「待ったなし」のケースもあるだろう。その状態で私も「もっと考えてくれよ−」とは言えないし、言わない。

しかし、待つことが出来るのであれば、退職のタイミングを考えて貰えないだろうか?

会社や経営者のことを考えてくれ、と言っているのではない。同僚のことを考えて欲しいのだ。

就労者の退職のタイミングというのは法律でも恐らく各社の就労規則でも同じように定められていると思う。
しかし、そのタイミングは退職をする人にとっては有効でも、残された同僚にとっては厳しいものに違いない。
人がいないなかで、日々の仕事を懸命にやりながら、退職する人の引き継ぎや穴埋めを確実に行うことは現実的には困難である。

今回は貴方が退職する人だ。

しかし、次は貴方が退職する人を送り出す残された同僚の側になる可能性だってある

そのことをイメージして、文字通り「円満退職」をして貰いたいのだ。就労規則通りに退職するのが円満退職ではない、と私は思うのだが・・・。