2016年5月3日の投稿
新卒を斡旋する会社に一言、言いたい
長女に勉強を教えてくれていた大学生の方が4年生となり、現在就職活動に奮闘されている。
誰でも知っているいわゆる「難関大学」で、留学経験を活かし、日本語の他三ヵ国語を流暢に話すことが出来る、才媛である」。(最も私は話している内容を聞いても、英語以外は流暢か、どうか、わからないのだが)
また、学歴や語学だけではなく、LINEやメールでやり取りをしても、これが大学生か、と驚くような洗練された、スキの無い、しかも好感の持てるメッセージを送ってくる。
当然、誤字脱字や誤変換も皆無である。重ねて人柄も素晴らしい。
にもかかわらず、就職活動で苦戦を強いられているのである。
私は大学生の新卒採用に5年間関わり、述べ200人位の面接は行っている。
また、その後の教育訓練のプログラムも作り、自ら教育訓練を行っていた。大手企業の人事の方には及ばないが採用に関してはズブの素人ではないし、しかも多くの企業で多くの社員の方と接する職業の為、どういう人間が会社にとって有益な存在となりうるか、ある程度判断することは出来る、つもりである。
その私から見て、この大学生の方が就職活動で苦戦を強いられている、という現実が信じられない。今、上場している優良人気企業に入社することがそれだけ難しい、ということなのだろう。
このように希望する企業に入れる学生は極一部であることから、多くの学生は「就職活動中はあまり希望をしなかった企業」に向き合わなければならない。
例えば金融業界だけを希望していた学生が金融業界への就職の道を絶たれた時、もう一年大学に残って就職活動を再トライするか、前述のような「就職活動中はあまり希望をしなかった企業」への就職活動を開始しなければならない。
ところが、金融業界だけに絞って就職活動をしていた為、今後どのような活動をしたらよいか、わからない、という状況に陥ってしまうことは容易に想像できる。
そこに登場するのが新卒の就職支援をする企業の存在である。学生はその企業に登録をすると様々な企業との集団面接や面接の機会が提供される。自らが面接機会を求めて歩き回る、調べまくる必要はない。
この新卒の就職支援をする企業の存在は人不足に悩む中小零細企業にとっても決してNGな存在ではない。
中小零細企業は知名度が低く、新卒採用のノウハウ、大学へのコネクションも乏しい等様々な要因を抱える為、新卒を採用するのは難しいのだが、この企業と契約をすれば学生との面接の機会を得ることが出来る。
問題は一人の学生と契約すると少なからずの報酬をこの新卒の就職を支援する企業に支払わなければならないという点である。その額は一人当たり100万円に近い金額の場合もある。
「海のものとも山のものともわからない」新卒者に100万円である。
人材紹介の会社は企業が求める能力のある(と思われる)人間を紹介し、その人間が採用されると年収の30%程度(私の知っている企業の場合だが)を報酬として貰うのだが、私はこのビジネスは否定しない。
何故なら、企業側が「りんご」を買いたがっているのに対して、「上手いか、どうかはわかりませんが一応りんご、です」というものを差し出す、からである。もちろん見ただけでは味はわからないが、一応「りんご」なのである。
しかし、新卒者は「りんご」か、どうかすらわからないのである。それに対して100万円とはまさに中小零細企業の足元を見た、上手いビジネスと言わざる得ない。
であれば、責任を持って入社した新卒社員が試用期間を終えて、定着するまでフォローをして貰いたいものである。
ところが、私が契約する企業ではこのようなことがあった。
前述したような新卒を斡旋する企業(ここではA社、とする)と契約をし、多くの学生を面接することが出来、その中から5名を採用した。A社の提案のまま、入社前の学生と懇親会を行い、盛大な入社式を行った。
しかし、入社後2週間経過した時に一人の新卒者が「今日、仕事を早退したいのです。午後からある企業の面接に行くことになっておりまして」と申し出たのである。
事情を呑み込めないその会社の採用担当者は「面接って、どういうこと?君はウチの社員でしょ。」と話をしたところ、その新卒者は驚くべきことを言った。
「実は御社に入社するのを迷っていたのですが、A社が「気に入らなければすぐに退職すればいいから、一旦は入社しちゃってよ。その方がこちらも助かるし、再就職の支援はするから」と言うのでその指示に従いました」とのこと。
採用担当者はすぐにA社に連絡をしたが、「そんなことは言っていない」という予想通りの回答。更には「では、1名欠員ですのでもう1名ご紹介しましょう」と申し出る始末。
中小零細企業が重い負荷(一人採用すると100万円)を覚悟で新卒採用に踏み切ったか、人を選ぶのにどれだけ悩んだか、そしてどれだけ若い戦力と彼らが作るであろう会社の将来に期待をしているか、そのようなことがわからない、A社は存続をしてはいけない、と断言する。
もちろん、私は一度入社しておきながら他社への就職活動を行う新卒者の感覚に問題がある、こともわかっている。学生としては就職活動に行き詰まり、A社のような企業に登録し、活路を見出そうとするのであろうが、一つアドバイスをすると現在成長過程にある中小零細企業の多くが新卒の採用を希望しているし、門戸も開かれている。確かに中小零細企業の求人は「見つけにくい情報」なのかも知れないが、ホームページを根気よく見る等、見つける努力をして貰いたい。
そして中小零細企業側もA社のような企業を活用せず、独自の新卒採用のノウハウを構築したいものである。
どうすれば新卒者を振り向かせることが出来るか・・・。
難しいテーマだが
「どうしたらお客様に採用して頂けるか」という問題に長年取り組み続けている企業であれば必ず、新卒採用のノウハウは構築できる、
と私は信じている。




