2015年6月2日
職務上、多くの管理職の方に会う機会があり、同様に彼らに対する経営者の評価を聞く機会もある。
管理職の中には贔屓目に見ても「困ったもんだ・・・」という方もいらっしゃるが、経営者の評価はさておき、とにかく責務を果たそう、という方が多い。
もちろん、「なかなか頑張っていますね(私、やや「上から目線」でしょうか)」と声を掛けたくなる、努力をしている管理職の方もおられる。
しかし、私から見て頑張っている(と、思われる)管理職の方が、必ずしも経営者から評価されている、とは限らない。
例えば実際に次の話のような管理職の方がいる。
彼はある会社の主要部門の管理職として15名程の人間を管理する立場にある。総勢30名の会社であるから彼のポストは非常に重要である。
私がその会社に訪問するとその管理職に対して部下が相談や報告を一人ずつ行っている光景を目にすることがある。
全員が相談、報告を終える迄2時間位掛かっている日もあるようだ。
一人、一人に実に丁寧に指導をしており、素知らぬ顔をして聞き耳を立ててみると指導も適切である、と感じる。
私はそれを見て経営者の方に「なかなかよい管理職ですね」と伝える。
実は私が管理職を評価し、経営者に伝えることは殆どない。普段は目も当てられない働きぶりなのかも知れないし、私が偶々見たシーンが「よい風景」だっただけかも知れない。
そこで、うっかり評価をしてしまうと「コイツ、人を見る目が無いな。しかも評価もいい加減・・・」と思われて、これまでの関係が水泡に帰す可能性がある。
しかし、この時は素直にその管理職の評価を伝えることが出来たし、経営者も「ええ、彼が管理職になって利益も上がり、部内も統制が取れてきましたよ」と応えられた。
さもありなん、と思った私に経営者の言葉が続いた。
「しかし、彼は自身の部門に来る仕事をセーブしてしまい、売上が上がらないんですよ。」と。
聞けば会社が示す目標や業務内容に対して、「それだけの難易度の仕事をこなせるレベルのスタッフが少ない」、 「若手はまだまだ仕事を任せられない」
「そのような量の仕事を与えると部下がパンクしてしまう。今、そのような環境で仕事をさせていない」、 との回答がその管理職から返ってくるのだそうだ。
経営者の言葉は続く。
「毎年社員の給与は少しでも上げたいし、その為には売上げと利益のアップが必要。売上げのアップと同時に人も増やしていたら何時までも利益は残らないですよね上がらないですよね。 それは説明しているのですが、彼は「ウチの部門の現状ではこれ以上の業務量は無理です」の一点張りで・・・。ごり押しをして、彼に辞められても困るし」
と話してくれた。
管理職の回答は間違ってはいない。
部下にとっては防波堤になってくれる、頼もしい管理職かも知れない。エラーを出さない、という点も考慮してのことだろう。
しかし、経営者にとっては真の「よい」管理職とはいえないのではないか。
私自身は管理職に求める大きな役割は「経営者の意図を伝え、経営者が示す目標を達成する為に配下のスタッフを管理・指導・教育をする」
ことだと思っている。
目標を達成する為には厳しさは不可欠で、数字を追うあまりに生じる業務過多の状態において、エラーに注意を払い、更に部下の仕事に対する意欲を損ねないような配慮も必要だ。
そのような厳しい環境の中で、目標達成の為に部下を動かすには経営者の意図を管理職が理解し、それを咀嚼して部下に繰り返し伝えられなければならない。
この管理職の問題点は「経営者の意図を理解する」点において不十分であるのではないか。
其れが故に「経営者が示す目標を達成する」という部分を何処かに置き忘れてしまっているのではないか、と思う。
もちろん、「俺が部下を守る」という責任感や使命感が優先されているのかも知れないが・・・。
ではこのような管理職を部下はどのように考えているだろうか。私は部下にとっても決して「よい」管理職である、とは言えない、と思っている。
何故なら、ある部下は彼のことを「自分達に楽に仕事をさせてくれる都合のよい防波堤」だと思っているかも知れない。
日々成長をしたい、多くの仕事をやり、給与を少しでも多く貰いたい、と思っている、やる気のある部下にとってはスキルアップの機会を奪う、煩わしい存在かも知れない。
このままの状態が続けば経営者からは「業績向上の妨げになる管理職」となり、部下からは「都合のよい防波堤だけど、自身のスキルアップは望めない管理職」という評価をされてしまう気がする。
私は基本的に「よい」人間が相応の努力を払っている状態において「よくない」結果が出る方向に進むのは見過ごせない。
当然立場上、直ぐに改善しなければならないし、既にこのケースにおいては改善指導に入っている。改善方法は私のノウハウの為、当然ナイショである。
小規模企業においては経営者が創業者又はその一族であることが多く、経営者の言葉は何よりも重い、ことが多いであろう。
そのような企業において管理職はまず、経営者の言葉をしっかりと理解することが重要である。
このような形態の企業でありがちなのは部下に「社長が明日からこうしろ、って言っている」、「社長が来月の売上げは目標値に対して20%アップだ、と言っている」という伝書鳩的な管理職である。
部下から「実際にどうやればいいだよ!あんたのプランを聞かせてくれよ」と心の中で突っ込まれていることは確実である。
そのような管理職は経営者に対して「社長の指示をビシッと伝えておきました」、「社長の指示通りの売上げを達成する為に気合いを入れろ、と言いました」という報告をするようだ。
これもまた部下から見れば「あいつは社長の方しか見ていないから」と思われているに違いない。
TVドラマの世界ではこのような管理職は必ずいる。いわゆる主役の敵役。学校をテーマにしたドラマであれば教頭先生がこの役割を果たしていることが多い。(敵役の親玉が校長先生だったりする)
このような管理職を経営者は望んでいない。
もちろん「社長の言っていることは単なる思いつきだから気にしなくていい」、「急な売上げアップなんて無理だから無視していい」という反逆者的な管理職も困ったものである。
部下は「おいおい、それが管理職の発言かよ・・・」とやはり、心の中で突っ込んでいるに違いない。
TVドラマの世界ではこのような管理職(いわゆる型破りな社員・管理職・主役級)の設定もあるが、彼らは別の方法でキッチリと結果を出している。
しかし、これは現実の世界に持ち込むのは難易度が高い。このような管理職を増やさないように放映側は「一般の管理職の方はマネをしないで下さい」というテロップを流して貰いたい。
このような管理職を望む経営者は絶対にいない、と断言出来る。
貴方が管理職に任命された時に是非、考えて欲しいのは「何故自分が経営者から管理職に任命されたのか」、である。 そこには必ず理由がある。
それが「経営者の意図を理解する」という管理職にとって不可欠な能力を鍛える為の最初の訓練である。
2015年5月17日
「人が足りない・・・」昨今どの会社でも聞かれることです。
もちろん、企業の大小、業界毎の差違はあると思いますが、「ウチは人が多いなあ」という会社は殆どないと
思います。
私も従業員35名程の会社の経営をしておりましたが、常に「人が足りない」ことは実感しておりました。
しかし、私の場合は実感しつつも敢えて具体的な増員対策を講じず、そのままにしていた部分も多々ありました。
表向きは「イヤー人が欲しいよね」と言っておりましたよ、もちろん。
その理由は
●今の人不足は役割変更、アウトソーシングで解決出来るレベルではないか
●新たに人を採用して、利益を出せるだけの収益環境が整っているのか
●現行の社員にもう少し頑張って貰って彼ら(彼女ら)の報酬を増やした方がお互いによいのではないか
主にこの三つを、ついつい深く考えてしまうという私の性格によるところが大きいでしょう。
このような性格ですから、短時間で飛躍的の会社の業績を延ばすことは出来ませんでしたが、舵取りをしていた
期間はずーっと増収増益でしたし、会社の経営状況が苦しくなり、社員の給与を減じたり、人を削減する、といったことは一度も
ありませんでした。
しかし、最も私がそのようなタイプの経営者だからであり、短時間で成長を目指す経営者はリスクを負ってでも人を求めると思います。
さて、その人についてですが、私の御客様で建設関係の会社については一様に常に人を求めておりますが、どうも建設系は人気薄で
どの会社も新規雇用に苦戦していらっしゃいます。
私が「営業部門でもう少し、マンパワーが欲しいですね」と言えば「その通りですが、どの部門も人が足りず、採用した人間を営業部門に
回せるか、難しいのです。求人広告も常に出しているのですが・・・」と苦しい回答が帰ってくることがしばしばです。
ここで経営者を除く従業員の方に伝えたいのは、経営者は人が足りないことはハッキリとわかっており、その為の手立ては打っています、
ということです。
私は管理職の方々と仕事をする機会も多いのですが「会社は人が足りないことをわかっていますかね?」や「経営者は何故人を増やさないんですか?」と
いう問いを多く受けます。
その度に「経営者はずーっと人を入れるべく努力をしています。そこは理解して下さい」と伝えますが、私が伝えた管理職がその配下に正しく事情を伝えているか、
ここは不明です。
しかし、ここは解って頂きたいので声を大にして、もう一度言いますね。
「経営者は人を入れる努力をしています!」
しかし、折角新しい人を入れても教育をし、定着をさせ、有効に社業に専念させるのは経営者はもちろんですが、管理職、または他の従業員の方々の
責務だと思います。
折角新しい人が来ても「アイツは変わっている」、「物覚えが悪い」、「直ぐに意見をしてきて、素直じゃない。教える気がしない」等、
アラばかりを探して、定着させることが出来ない環境を作っているのは管理職や他の従業員、という現実も目にします。
「人が足りない、人が欲しい」と言っていた人達が「人が足りない状況を作っている」・・・皮肉ですが、現実の光景です。
今日一番解って頂きたいのでこれももう一度言いますね。
「人が足りない最大の要因は、皆さんにあるのではありませんか?」
新しい人を「まず受け入れ」、「丁寧に教え」、「不安を解消すべく、努力をする」、これは皆さん出来るはずです。
小学生の時に転校生が来たら、横に座った人が教科書を見せたり、三角定規やコンパスを貸してあげたり、クラスのローカルルールを
教えたり、20分休みにドッチボールに誘ってあげたりしましたよね。
あれですよ、あれ。
新しい人が来たら管理職・従業員の方、宜しくお願いしますね。皆様の経営者に代わってのお願いです。
2015年5月15日
「外部役員」も今年3月で4年目に入りました。3年間事業が継続出来ことを一つの区切りとして、今年は二つのことをやろうと思っておりました。
一つは事業所を開設すること、もう一つはこのブログを始めることです。
事業所の開設については御客様の中にはご存じの方も多かったと思いますが、自宅の一室を事業所としていました。
自宅で仕事をされている方は決して少なくないと思いますが、私にとっては「住・職一体」の素晴らしい環境でした。
多くの方々から「よくその環境で、集中して仕事が出来ますね−」と言われておりましたが、何ら問題はありません。
受験生を想像して下さい。彼らは主に自宅で集中して勉強をしているではありませんか!合格している人は、ですが。
皆様も少なからず受験生だった時期があると思います。自宅で仕事をする、とはあの状態です。
来客は困るでしょう、と言われたこともあります。
まず、来客については基本的に「来なくていいです」(丁寧にお断りをしております)と言い、敢えてそのハードルを越える方に対しては
近くにコーヒーショップが沢山ありますから、そこで待ち合わせ、お話をします。
気分転換にもなりますし、飲み物も選べますから私は非常に好ましいと思っておりました。家でしたら絶対に「キャラメル・マキアート」は飲めませんから。
全く業務上の支障がない日々でしたが、諸事情により自宅から出て仕事をすることとなりました。
しかし、簡単に「住・職一体」という嗜好は変わるはずはありませんので、自宅の直ぐ近くと言う場所を選びました。
私には「都内の御客様が増えたから都心に仕事場を設けよう」、「地代家賃の低いところで」という考えは全くありません。
これが一つ目、事業所開設についてです。
もう一つブログについてですが、色々な会社とご契約させて頂いておりますので、様々な内情を知ることとなります。
内情、特に問題点については業態(分野・規模)毎の違いは当然ありますが、共通する問題点も少なくありません。
あるAという会社で発生している問題点について経営者の方とお話をし、対策を考えるのは私の仕事ですが、
A社を出てから「B社でも同じことがあったな」と思い出すことはしばしばです。
B社で起こったことをA社にも伝えて、B社で発生した問題がA社で起きないように予防処置を提案したら良いですし、それは私の責務ですが、
その時A社に顕在化した沢山問題点があればその対処が先決です。消火活動が必要な状況で、消防訓練をしても、ですね。
もちろん、私の力不足も問題であることは間違いありません。そこは成長、改善をして参ります。
しかし、私の成長をどの御客様も待ってはくれませんので、そこでどうすれば多くの御客様に予防処置を提案が出来るか、異業種経営者間の情報共有化にどのような手立てがあるのか、
情報の発信源をぼかして重要な点を伝えるには・・・を考えた際に「日々感じたことを記録し、公開しよう」と思ったわけです。そこで選んだのがブログです。
私はどの御客様とも機密保持に関する契約を結んでおりますので、会社名はもちろん、どのような会社から発信された情報か、読み手が想像出来る状況もNGです。
つまり、ブログで公開するには「実際にあったこと(ノンフィクション)を、フィクションに変化させる」プロセスが
必要です。
注意が必要ですが、私は出来る、と思いました。
もちろんブログを読まれたのが当事者であれば「これはウチの会社のことだな」とお解りになると思います。
しかし、他の方が読んでもそれがどの会社のことか、絶対にわからないように配慮しますし、ご商売に直接関係することは掲載しません。
ブログを通して契約先の経営者、管理職、従業員の方々が私が「思い、考えているけれど、まだ直接伝えていないこと」を理解して頂き、日々の仕事の一助としてくれることを
期待しておりますし、「自分が置かれている状況は決して特別では無い」と感じて頂けると良いと思っております。
ちなみに事業所の開設日は6日で娘の誕生日、ブログの初稿は本日15日で息子の誕生日です。